稲盛和夫氏講演会。
本日は城山観光ホテルさんの開業50周年記念式典でした。
昼のレセプション後、16時半より稲盛和夫氏の記念講演会でした。
タイトルは日本航空の再建と日本の再生。
稲盛和夫氏は2010年2月より会社更生法が適用された日本航空の代表取締役会長に就任。
就任後、当初は週3回の勤務。そして無給。
実は再建への勝算は全くなかったといいます。
講演の冒頭、氏は人生の目的とは世のため人のために尽くすこと。そのように淡々と語ります。
1980年代、世界でもトップクラスの航空会社となった日本航空。
しかし、無理な拡大路線と官僚的組織の弊害などから2010年1月、2兆3千億の負債を抱え倒産します。
直ちに会社更生法を申請。
氏は続けます。過去に会社更生法を申請した上場会社137社(店頭公開含む)のうち、更生手続き終結後に再上場した企業は、集計可能な1962年以降で9社(6.6%)にとどまるとのだと。
それほど再上場というのは難しいと。
しかも金融機関を除く企業で最も大きな負債を抱え倒産した日本航空がなぜ再上場できたのか・・・
その成功のポイントは5つあると氏は続けます。
1.会長が給与をもらわなかったこと。そして、JALの社員がその会長の思いに駆られて頑張った。週3と言っていた勤務も次第に週4に。週4が週5になっていった。週のほとんどはホテル住まい。食事をする間もなく仕事の帰りはコンビニでおにぎりを買ってベッドに座って食べて済ます(私ここでつい、涙が出てしまいました。)。そのような日常。自分が懸命に再建に取り組む姿勢。自分の父親のような年齢の人が・・・・それが社員の心を動かした。
2.3つの大きな大義があった。
①日本経済の影響。2次破綻が起こると日本経済に悪い影響が出る。
②3万2千人の職員の職を守らなければならない。
③国民のためである。つまり飛行機を利用する人に便宜を図らなければならない。大手が一社になると競争が無くなり運賃が高止まりになってしまう。だから大手は二社必要。だから世間からどんなに批判を受けようとも再建しなければならない。
3.日本航空の目的とは社員の物心両面の幸福を追求するということ。その一点に尽きる。企業とはそこに集う社員の幸せのためにある。社員が会社を自分たちの会社であると意識することが大事。これを明らかにしたから(自分たちのためだと思うと社員も再建に向かい本気で取り組む。そういうことだと私は思います)。
4.意識改革。まずリーダー層の意識改革。本社と現場の一体感がない。だから経営幹部を対象に一ヶ月間リーダー教育を行った。
経営の要諦とは素晴らしい人間性、日々心を高めること。
常に謙虚であれ。人間として正しいことを追求すること。そのようなことを話した。
ところが
一流大学を出たインテリには違和感があった。
稲盛氏はこう説得。
皆さんは「こんな幼稚なことと」いう。が、そのようなことを皆さん知ってはいるかもしれないが身にはつけていない。
結果、幹部は次第に理解してくれるようになった。
人間としてリーダーとして経営者としてどうあるべきかということをもっと早く知っていればこうはならなかったと。
そして、次第にその研修を現場も受けたいという機運が高まる。
そして、数千人が社員研修を受ける。
稲盛氏はこう言う。設備から何から航空運輸業は巨大な装置産業と誤解される。
しかし
実際は究極のサービス産業なのだと。
キャビンアテンダントはどう接遇するのか。機長はどう機内アナウンスをしてお客さんに「また乗りたい」と思わせるのか・・・
JALの企業理念を京セラと同じく
社員の物心両面の幸福の追求と決める。
また
フィロソフィーを策定。具体的には人間として何が正しいのか。プリミティブな判断基準。感謝の心。真面目に一所懸命仕事をする。
そして熱心なフィロソフィー勉強会が始まる。
5.部門別採算制度。
就任当初実績を出させると、数ヶ月前の実績でマクロな実績しか出てこなかった。
収益の責任体制や路線別、路便毎の採算制度を明らかにするためアメーバ経営を取り入れた。
組織をできるだけ小集団にする。衆知を集め全員で経営。
前述の5つのポイント以外に
また思わぬ応援団も・・・・
それは盛和塾の塾生。
この塾生がJAL応援団を結成。5500人が1人100人を集め、55万人に。
JALに乗ってあげよう。
そして、世間から罵声を浴びせられていたその時、塾生達が数万羽の折り鶴も折ってくれた。
さて
このJAL再建の方法が日本にも応用できないか。
今の日本人、困難に立ち向かう勇気を失っている。
まずは心を変えなければならない。
燃える闘魂が大事。
過去に山中鹿之助はこう言った。
我に七難八苦を与えたまえ
最後に稲盛氏が就任時に社員に訓示として言った言葉を紹介します。
新しき計画の成就は只不屈不撓の一心にあり。さらばひたむきに、只想え、気高く、強く、一筋に(中村天風)
これは、新しい計画の成功を望むのであれば、どんなことがあろうとも、決してあきらめず、だだひたむきに気高く、つまり純粋に、そして強烈に思い描き続けることが大切であり、そうすればどんなに難しい目標であろうとも、必ず成就できるということを意味しています。
本当に素晴らしい講演会でございました。
私も自分自身に気合いを入れ、燃える闘魂でこの難局を乗り越えます。
城山様、素晴らしい機会を有難うございました。
稲盛会長様本当に本当に、いいお話を有難うございました。
by shintekiware5 | 2013-03-28 22:26 | 感動